
西江邸
日本初の国産ベンガラの誕生は、今から約350年前にさかのぼります 。
宝暦元年(1751年)、本山鉱山を拓いた六代目・西江兵右衛門が
ベンガラの原料となるローハの量産化に成功し、高品質のベンガラ生産を手がけました。
それ以来、西江邸のベンガラは「赤の中の赤」と芸術家たちに賞賛され愛されてきました。
伊万里焼や九谷焼の赤色顔料として「Made in Japan」ブランドを海外で印象付け、
その名声はヨーロッパまで広がりました。
純度の高い工業用ベンガラが簡単に作れるようになった今でも、
西江邸のベンガラだけが持つ鮮やかで深みのある赤色には到底およびません。
西江邸には江戸期から伝わる伝統的な製法で作られたベンガラとローハが現存しており、
この貴重な顔料を今の時代に甦らせたいという想いから、多くの作家たちに提供を始めました。
工業用ベンガラ染が均一な色合いなのは、そのベンガラが工業向けだから。
西江邸のベンガラで染め上げたものは、黄みと赤みが含まれた深みのある色になります。
長い歴史の中で培われ、自然と調和した独特の色合いや風合いは、
多種の成分を含んだ顔料による天然染色でしか出せない味なのです。