西江邸の「新ベンガラ」とは

 現高梁地区のベンガラは、江戸時代に作られた日本で初めての人の手による赤色顔料として知られ、広く全国各地や海外で活用されていました。しかし、第二次世界大戦後の技術革新以降、化学合成で作られた工業用ベンガラが簡単に製造されるようになり、昭和40年代になるとベンガラは次第にその時代の波に飲み込まれて行ったのです。「天然ベンガラ」は色調が美しく有田焼などで長年愛用されており、現在でも多くの陶工や工芸家などが入手を希望している赤色顔料なのです。
  ベンガラ製造の老舗である西江家では「赤の中の赤」といわれる往時のベンガラを今によみがえらせるため、岡山大学大学院自然科学研究科無機材料科学研究室(高田潤教授)での研究に着目。無機材料科学研究室では現存する「天然ベンガラ」を詳細に調べてその秘密を明らかにするとともに、さまざまな試薬から色鮮やかで耐熱性の高い優れた酸化鉄系赤色顔料を開発することに成功しました。

アルミ入りベンガラ製造技術、西江家に技術移転


 西江家では、高田潤教授らが開発した「AI置換ヘマタイトの製造技術」(特開2004-43208 )を岡山技術移転機構(Okayama Technology Licensing:岡山TLO)を通 じ西江家十八代当主 西江晃治への技術移転を要請。平成17年6月2日、技術移転が実現し調印することが出来ました。

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十四代今泉今右衛門の手による
「新紅柄」を使用した試作品

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